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ある日、蓬莱、蓬莱と、寝言のように繰り返していると、博学で有名な美ら島物語の前ウェブマスターHamaさんが近づいてきて、「蓬莱島は沖縄ですよ。万国津梁の鐘に書かれていますよ」と、事も無げにのたまう。「蓬莱は、昔の中国で信じられていた、不老不死の仙人が住む理想郷のことです。」 なんと!…ともあれ、実物を見に行くことにした。

訪れたのは、県立博物館。首里城の下、琉球王朝時代に中国の使者を招いて爬龍船競争を催したという龍潭池の目の前にある。210円の入館料(安い!)を支払い、歴史展示室の奥へ進む。薄暗い照明の下に、万国津梁の鐘は鎮座していた。

レプリカは首里城にあって、年越しに撞かれたり、那覇マラソンのスタートの合図に連れ出されることもある。

老眼鏡を取り出し、先の戦争で黒く焼かれ傷だらけで読み難くなってしまった銘文を眼を凝らして追うと、「蓬莱嶋」の文字。

博物館の資料によると、この鐘(正式には旧首里城正殿鐘)は、1410年に時の国王、尚泰久(第1尚氏6代目)の命により鋳造され、銘文は相國寺住職、渓隠安潜がなしたものという。
その中には、沖縄サミットで一躍有名になった「萬國之津梁」の言葉も。琉球国は、中国と日本の中間に湧き出た蓬莱島であり、舟や楫(櫂)によって万国との架け橋となっていると、中継貿易で栄えた琉球王国を誇らしげに謳い上げている。

自宅に帰り、息子の地図帳を広げて見る。確かに中国の東には、東シナ海を挟んで九州から南西諸島が位置する。それより北は、朝鮮半島がかかり、南は台湾である。蓬莱が島であれば、九州や台湾はいささか大き過ぎる。

とすると、やはり蓬莱島は琉球、さらに言えば鐘の銘文から国王がいた沖縄本島となる…?

でも、これ、スウィート・スポットを外した打球感がするのはどうしてだろう。

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前編:きっかけは竹取物語 後編:謎だらけの与那国
(2003.10.15掲載)




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