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大仕事がひと段落ついたからと、会議スペースで飲み会が始まった。オリオンの缶ビールで乾杯し、ポテトチップとイワシの蒲焼缶をツマミに、そして泡盛へというのがうちの職場のお決まりコース。今日は、出張者のおみやげのドナンが加わった。火が着くし、水で割ると白濁する60度という与那国名産の泡盛。
「ドナンていう意味、知ってますか?」
与那国出身のKさんが話しかけてくる。
「漢字で渡るに難しいと書いて、渡難、ドナンです。与那国の別名なんです。島の周りは波が荒くて、昔の舟では大変だったそうですよ。」
頭の中で花火の導火線に火が点いた。
蓬莱島は仙人が住む理想郷、そうそう簡単に行けるところでは憧れの地にはならないはず。外交の中心地である沖縄本島は弥生時代から中国本土との関わりがあったそうだ。万国津梁の鐘の銘文を書いたお坊さんは、時の国王あるいは国王が統治する琉球国の栄華を「蓬莱」に例えて礼賛したのだ。
Kさんが続ける。
「昔、島の南に夢の島があって非常に栄えていたのですが、ある日、海に沈んでしまったという伝説があります。それを南渡難(ハイドナン)と言います。波照間島にも南波照間島という同じような話が残っているそうですよ。」
大きな花火がド〜ンと炸裂した。
衝撃で残り少ない髪が逆立ったような気がした。
酒の話題は、今年のかりゆしウェアの新作に移っているが、
それどころではない。
渡難、夢の島、海に沈んだハイドナン・・・
そうだ、与那国へ行こう!
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