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山猫みぃ与那国紀行 島めぐり編


4月25日、釣り(トローリング)

♪ ざわわ、ざわわ、ざわァわ〜っ♪ 広いイ、佐藤(こう、聞こえたのは、気のせい?)きびばァたけはぁ♪ はちろーさんの鼻歌、心地よい朝の風が車に流れ込んでくる。これから船に乗って、釣りに行くんだよ〜。♪ ざわわ、ざわわ、ざわわ〜♪
経由地の石垣に帰る日、15時20分の便だから、時間には余裕がある。
ダイビングの後に、飛行機に乗ってはいけないので、「今日の海遊び、午前中はトローリングでもいかがですか?」と、はてさんが提案してくれていた。「ねえ、街猫さん。トローリングってなあに?」ふうん、釣りかぁ。「H谷さんのように、釣れますように。」まあは、意欲満々。ねぼけまなこの山猫みいは、岸辺で昼寝と決めこんで、朝ご飯をお腹いっぱい食べる。うとうとしてたら、そのうちきっと、ツンツンってお魚が糸を引くよ。最西端の島で、のんび〜り釣りをするんだよ♪

「佐藤先生! 大きいの釣りましょう!」朝から、気合充分のはちろーさんの運転で、海までドライブ。「ここも、島開発の工事中でね。」と言いながら、ハンドルを切る。着いたとたん、サッと降り立ち、大きな船に乗り込む。はちろーさんとマサ君はテキパキ準備して、釣り竿が船尾に立ち並んだ。潜行板の先にも2ミリぐらいの太い釣糸に、イカの形の蛍光ピンクやイエローの大小の疑似餌をつけて、船尾から放り投げ、空を睨む。

風や、潮の流れや波、カツオドリを見て、船を操るのだ。邪魔になるので、隅っこに座ってる、みい。街猫まあは、陸に降りて船をデジカメ写真で撮って、あたりを散策している。島猫はてさんは、甲板で海風に吹かれ、腰に手を当てて、ウルトラマン立ち。爽やかに沖を眺めている。

トローリングの準備を始める新嵩さん
トローリングの準備を始める新嵩さん
トローリングの準備を始める新嵩さん

沖に来ると船を停めるどころか、はちろーさんが、舵取りの指示を出し始めた。あれ? おかしいなあ。釣りって、じ〜っと停まってするものでしょ? 縦横無尽に突っ走ってどうするの?
「小魚の大群を目ざとく、空からは鳥が、海からはカツオが狙うので、その鳥を『カツオドリ』と呼ぶんだよ。」左はゆっくり大きく! 右へ右へ回りこんで! そぉう、そう! 指示の合間に「こうして舵をいっぱいに切って、右へ大きく船を走らせるとね、釣り糸が広がって船の下で絡まったりしないんですよ。」と、説明してくれる。あれっ? やっぱり、トローリングって、走りながら釣るのね?
「走りまわって疑似餌を、さも泳いでるらしくみせかけて、釣るんだよ。」

海の色と日差しが混ざり合う景色 海の色と日差しが混ざり合う景色
「舵を右に切れ! 廻り込め! 左へゆっくり、そお〜ぅ、そう。右! 大きく右に廻り込め!」
「右に切れ! 右っ! カツオドリに突っ込め〜!!」はちろーさんが、豪快に叫ぶ。
映画の撮影現場みたい。しっかりつかまってないと、船から落ちたら、猫が魚のエサだ。
あいいろの海に、雲の間から何本か日差しがこぼれて、メタリックに波が光る。とうとうイカだと思って、カツオが食いついてきた。

「先生!」はちろーさんが叫ぶと、急にみいはシャンとなり、2ミリぐらいの太い釣り糸を手繰り寄せる。はちろーさんに手伝ってもらって「わ〜い、大きいのが釣れたよ〜。」ぴんぴん跳ねてすごく重たいので、はちろーさんに尻尾を押さえててもらう。次の瞬間、甲板に、びしっ! びしっ! カツオを叩きつけて気絶させ、えら2枚目を指でちぎる。そして、発砲スチロールのケースに、ドオッと放り込む。どきどきして、十字を切る、みい。次は、まあの番だよ。

その内、みいは「もうだめニャ〜」とうとう甲板で、ノビテしまった。「カッコつけてがんばらなくても、もういいや〜」って一度寝そべってしまうと、気が楽になって、そのまま辺りを眺めていた。
船が近づくと、カツオドリが、サア〜っと散って行く。発砲スチロールの棺おけの中で、カツオがぴちぴち大暴れを始める。はちろーさんは蓋を開けて、こん棒を振り下ろす。ばしっ! ばしっ!
し〜ん。そして、何事も無かったように、もう一匹釣り上げる。「おお、ワイルド!」
はてさんは大丈夫? さすが島猫だけあって、相変わらず、にこやか〜。街猫まあも、元気いっぱいで、釣っていた。

見事カツオを釣り上げた、街猫まあ
見事カツオを釣り上げた、街猫まあ
見事カツオを釣り上げた、街猫まあ

獲れたての新鮮なカツオを味わって、元気回復 獲れたての新鮮なカツオを味わって、元気回復
部屋で休んでいたら、はちろーさんは釣った魚をさばいたからと声をかけてくれた。まあは「船で、スケッチしてたせいかもよ。みい、大丈夫? 寝てていいよ。」と、いたわってくれた。「いやん、せっかく自分で釣ったのに、食べるぅ〜。」ここまでがんばったんだから、船酔いなんか何だ!
一口ぐらい食べたい。またとない、新鮮なカツオを目の前に、俄然パワーを出す、みい。
「こっちが刺身で、これがカツオのたたき」と、はちろーさん。ゲンキンなみいは、カツオのたたきが、ぷりぷりして美味しかったので、不調を忘れ、いくつもいくつも食べてしまった。

採りたてのカツオと玉ねぎを煮たお汁も、塩としょう油をちらっとたらし、さっぱりしている。
「はちろーさんは、強いなあ。」すると涼しい顔で「朝めし前サア、今あさごはん。」ぱくぱくぱく。「ああ、おいしい。大根の太く切ったつまと一緒に、しょうがと、にんにくをつけてと。ここに、しょう油をたらすとうまいんですよ、これが!」ぱくぱくぱく。
ずる〜い! 知っていたら朝食抜いたのにぃ、と睨む、みい。はちろーさん、にやっ!

 

スケッチタイム

思いがけない豪快な釣りで体力を出しきり、釣ったお魚を食べたら、部屋に戻り、ぐうぐう昼寝。その間に、島猫はてさんは、仕事で一足先に帰っていった。元気を回復したみいは、はちろーさんの車を借りて、まあとスケッチに出た。初日のドライブで、目星はつけていたが、「島は、3つの集落に分かれているんですよ。」とはちろーさんに聞いていたので、地図を見る。

西崎展望台のある「久部良(くぶら)」、ここでは夏にカジキ釣り大会がある。
南側の「比川(ひがわ)」、ここはTVドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地があり、与那国馬で浜を駆足するのも楽しい。そして泊まってるホテルのエリア、北側のナンタ浜を含む「祖納(そない)」。今日は、祖納を描いてみよう。浜に出て右折したら、すぐに到着。

海を望んで、浦野墓地群が建てられている。「神様は、海から来るので。」亀甲墓は、一軒家のように大きく、四角く囲われた中に降りると、青々と草がはえている。ピクニックに来て、お弁当を開きたくなる、明るい雰囲気だ。それにお墓と遺跡に共通な、登れない階段デザイン。遺跡の正体は、城(グスク)か、お金持ちの住居隣のお墓か、公共施設か? みいは考える。

海を望む景色の良い「浦野墓地群」
海を望む景色の良い「浦野墓地群」
海を望む景色の良い「浦野墓地群」

琉球大学の木村先生の率いるチームの調査では、与那国に伝わる、絵のようなカイダ文字が刻まれたものが、海に沈んでいたそうだ。×、牛、船、カメもあったそうだ。では人工に決まったか?と言うと、いや、誰が何のために作ったのか謎なので、今のところ立証されていないとのこと。賛否両論の中、世界中から調査隊や、ダイバーが集まってくるよ。
地殻変動で隆起した断崖の雄々しさや、1万年前の海水面の上昇で水没した都市に思いを馳せながら、スケッチをしているうちに、太陽がサンサンと照り付けてきて、サングラスをかける。まあは、あたりを歩き回っている。「みい、描けたら教えてね。」

それから、透き通る水色をたたえた海をながめに、ナンタ浜へ行った。巨大なテトラポットが、積まれている。浜に打ち上げられたまま、干からびていた大きなウツボの、小さいが尖った歯の白さを、もう一度ながめた。

自然の風景に囲まれて、のんびりと時を過ごす 自然の風景に囲まれて、のんびりと時を過ごす

田原川(たばるがわ)は、ときおり白鷺が緑の中に降り立つのが、美しい。豊富な湧き水が川となり、海に流れ出していく。それは短い川だけど、流域に広い湿地帯を作り、マングローブを形成しており、その背景には与那国ならではの切り立った崖に、今は緑がおい茂り、山々が遠くへと重なる、みいのイメージ通りの沖縄なのだ。佇んでいると、日頃のどんどん加速の付いていく人生とは、全く別世界。今はゆったり自然に浸り、スケッチする、みいなの。


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