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一般的に、古酒は貯蔵年数が長いものが美味しいとされているが、酒造所で聞くと、必ずしもそうではないとの答えが返ってきた。
8年貯蔵タンクと10年貯蔵タンク、両方を飲み比べてみると、10年より8年の方が先に熟成して、まろやかになっていることがあるそうだ。
うーん、これじゃ10年古酒として売れないなっ、ということで封印をして寝かせつづけ、12年目に飲んだら、素晴らしい味と香りを醸し出していた、などということが度々起こる。
「泡盛は人と同じ。まっすぐ育つやつもいれば暴れて遠回りをするやつもいる。暴れたやつは、時の中でボコボコ揉まれながら、角が取れてくるのだろうね。時間が必要なやつもいるしな。」
杜氏が静かに微笑みながら語った。
「10年経ってダメだったら、待てばいいんだよ。」
「おやまあ、気の長いお話ですね。でも、12年経ってもダメだったらどうするのですか?」
「12年経ってもダメだったら、また待てばいいのさ、いつか立派になると信じながらね。これは親心だな。」
「暴れん坊をひたすら待ちつづけて、無事熟成を遂げたときには、嬉しくて胸が熱くなるよ。」
「心配したけど、おまえも立派になったなっ。」
「おやじ、いろいろ心配かけてすまなかったな。おれも時の中を旅してきて揉まれながら、成長してきたよ、立派になっただろう。見守ってきてくれてありがとう。」と。
時が来た日、杜氏と泡盛は人知れずそんな会話を楽しんでいるのかもしれないな。二人っきりで。
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