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樫樽で熟成させた泡盛がある。 色は琥珀色、味はコクが深く、気品に満ち溢れた素晴らしい酒だ。 無色透明の泡盛がいい、という人も少なくはないが、なぜ樽熟成の泡盛が創られたのかを知れば、違う思いで美味しく飲めるのではないか。 と思い、樫樽熟成泡盛「暖流」を生み出した、神村酒造を訪ねた。
戦後、アメリカの支配下に置かれた沖縄ではウイスキーやバーボンが大量に入ってきて、いつの間にか泡盛が隅っこに追いやられていた。 古くから泡盛を造ってきた酒造所にとっては泡盛を誇ることができない、辛い時代を過ごしていた。
そこで、奮起した神村酒造の先代。 悔しい、伝統と文化で育んだ高貴な酒、泡盛を絶やしてはならない。 うちなーんちゅを、泡盛にもう一度振り向かせたい。 沖縄の自信を取り戻したい。 ウイスキーより美味しいといわせたい。
いろいろ考えた結果、樫樽で泡盛を熟成させることに決めた。
まずは樽造りの研究・開発。しかしそれはかなり難しく、何度も何度も壊しながら、やっと泡盛用の樽を作り上げた。 熟成の方法に関しても、いろいろと試しつづけた。 そんな苦労の中から誕生したのが、元祖!樫樽熟成泡盛『暖流』だ。
神村酒造の思いは、うちなーんちゅに受け入れられ、新しい味として琥珀色の泡盛が市場へ広まっていった。 さらに神村の先代は、”泡盛業界全体の発展のために”と、酒造所10数社を集めて、樽造りの技術を伝えていった。後にヘリオス酒造の「くら」や久米仙酒造の「奴樽蔵」なども登場し、樽熟成の琥珀色泡盛はその地位を確立していったのである。
うちなーの文化と伝統に育まれた泡盛、さらに、蔵元の誇りを呼び戻させた元祖琥珀色の泡盛「暖流』・神村酒造が泡盛業界や沖縄にもたらした恵みは、決して小さくはない。
神村の酒蔵には、今も熟成し続ける古酒『暖流』が眠っている。 試飲させていただいたが、これはまさに琥珀色のロマン!
大琉球交易時代、海の道、暖流に乗ってサバニを操り、アジアからの恵を琉球にもたらしたように、泡盛暖流も全国へ、そして世界へ恵みを届ける酒になって欲しい。そんな願いで『暖流』と名付けられたと聞かされた。爽やかな酔いの中で南から吹く風に包まれたような気がしたのであった。
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