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電話が鳴った。 『はい、〇〇酒造です』
「あ、△△県の〇〇酒店です、あのね、お宅から5年前に仕入れた泡盛ね、売れ残っちゃってラベルもはげているんだよね。こんなん、よう売れんから、すまんが交換してくれんかのう?」
『そうですかぁ、いいんですか? それって古酒になってますよ』
「いやいや、誰も古いの買わんから、新しいものと交換してくれよ」
『承知しました。では、新しいのと交換しましょうね』
「よろしくたのんます!」と、安堵の声を残して電話は切れた。
しかし、酒造所のオヤジは「むふふ」と微笑んだ。古酒入荷だ!
そんな光景が、以前はよくあったらしい。
泡盛が今ほど本土で知られていなかった頃は、年数が経ち、ラベルが剥がれかかったものは、商品価値が下がるため問屋から返品交換の依頼がよくあったそうだ。
しかし、最近はほとんど戻ってこなくなった。
泡盛がビンでも熟成し、寝かせた年数分の古酒になることが問屋にも知られて、受け入れられたからなんだよ。
それはそれでいいことなんだが…と、オヤジは遠くを見つめた。
『古くなって返品された泡盛ってさ、実はかなりの値打ちモンってことだろ?』
「はい、きっとおいしいおいしい古酒ですわ、社長!」
『だから、返品モノを待ちわびているうちなーんちゅも結構いたわけさ。俺もその一人。送料こそかかるものの、県外にビン熟成の貯蔵庫を持っていたようなものさーな。商品化してビンで貯蔵すると場所取るから、返品も密かな楽しみだったわけさ。』
『最近は、県外貯蔵庫がめっきり減ったなー。』…
泡盛今昔物語、うーん、古酒の逆輸入。
ある意味、古き良き時代…だったのかもしれないな。
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