
私がまだ学生だった頃、今から20数年前のこと。
ウイスキーに変わって飲みはじめた泡盛。一升ビンが登場し、封を切ると
必ず誰かが少しだけこぼしてみんなに注ぎ始めていた。
上澄み(上濁り?)を飲むと悪酔いすると言われていたからだ。
しかし、それから数年後、別の街で宴の席に招かれたとき、先輩方の手
を煩わしてはいけないと、封を切って捨てたところ『フリムン!(馬鹿者)』と
叱られてしまった。なぜだかさっぱり分からずに、呆然としていたら、おじい
が語った。泡盛は、振ってから、かちゃーして(混ぜて)飲みはじめるもの
やさ。なんでおまえは捨てるのか?と。
はい、私たちの地域では、まず、ビンの上澄みを捨てて飲むのが流儀と
されているからなのです。と話すと、そうか、しかし、泡盛のビンの中を漂う
物体や浮き上がっている物体は美味しくなる成分だから、捨てるのはもっ
たいないぞ。と教えられた。
社会に出て、あちらこちらで酒宴の席に顔を出しているが、捨てるところ、
振るところ、両方あるから、封を切る一連の儀式はその土地の人にお任
せしている。しかし、実際どちらが正しいのだろう?
そう思って、いろんな人に聞いてみた。だれも答えを知らないが、次のよう
な説がある。
【振るところ】
泡盛はあまりろ過しないと、成分が固形化することがある。
昔の泡盛は今ほどろ過していなかったから固形物がよく漂っていた。しか
し、これがうまみの成分で古酒になる成分だと言われている。だから、旨
みを逃がさないために振って混ぜて飲んだ。
【こぼすところ】
戦後、再び泡盛を作りだした頃、今のような品質管理ができない時期の
泡盛には混入物が入ることがあった。もしくは、浮遊している旨み成分の
固形物が混入物だと思われ、それを捨てていた。
今でも、あまりろ過していない泡盛は、冬場県外へ持っていくと、水色の
固形物がゆらゆらと酒の中を漂うことがありますが、みなさまこれはカビ
ではありませんので、得した気分でふりふりしてお飲みくださいね。
ちなみに最近の私は、捨てずに振ってから飲んでいます。
1滴でも、もったいないから。(By:森山 卓)
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