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「美ら島物語」メールマガジン「ちゅらしまニュース」発 泡盛コラム


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文・森山 卓


vol.42 まさに至福! 46年古酒

とある酒造所を訪ねた日のこと。
社長さんと泡盛談義に花が咲き、工場見学を終えて事務所に戻ったら、ラベルのない3号ビンとグラスが3つずつ、テーブルに並んでいた。
『さて、森山君、この3本を飲み比べてもらおうかな』と、注いでいった。
ひとつひとつ、酒の特徴や飲み心地を伝えているうちに、話は大いに盛り上がった。
『あんた、本当に泡盛が好きなんだねー。』社長さんはそう言うと席を立ち、布が被せるられているザルの中から、半分ほど琥珀色の液体の入ったビンを取り出した。
『これね、実は46年モノの古酒なんだ。昔からうちの酒をたくさん貯蔵してくれている人がいてね、その人から分けていただいたものなんだ。
これだけしかないから、本当に泡盛が好きな人じゃないと飲ませられないんだよな。あ、でも少しだけだよ。』
と言いつつ、お猪口にほんの少しだけ注いでくれた。(3mmくらい)
ヒヤサッサ!♪ カチャーシーを踊りたくなるくらいの嬉しさだ。
おおお、なんともいえない芳香が漂い始めている。

『この香りをまず楽しまなくてはいけないね』、と言われたらそう簡単には口をつけられないが、あまりの香りの良さについついうっとり。
しばらく鼻で楽しんでいた。

『そろそろ飲んでごらん』

「はいはい待ってました!」と我に返り、ゆっくりと酒で唇を湿らせた。

うひー、広がる! おいしい!! いい酒は飲むんじゃなくて舐めるものだと誰かが言っていたけど、ホントそのとおりだ。唇で優しく広がる心地よさ。これはたまりません!

『以前、うちのおやじがこの酒を飲まされたときね、これが泡盛だとは思わなかったそうだよ。んで、これは何ですか?と聞いたらしい。
そしたら、おまえんことの酒だぞ!と言われ、おおお、うちの酒は美味しいではないかって感動したくらいだったそうだよ』

うーん、たしかに何も聞かずに飲んだなら、泡盛とは思えないだろうな。
ゆっくりと、時間をかけて味わい尽くした。
「社長、も少しだけちょうだい!!」って言いたいけれど、だめだといわれるのは判っているし、だめだといわれたら余計に恋しくなるから言うのは我慢しておいた。

『そのお猪口、今もう一度嗅いでごらん』と社長さんが言った。
ゆっくりと、鼻に近づけたらこれまたびっくり!
酒が入っていたときとは違う、あまーい香りが湧き出ているではないか。
『森山君、いい泡盛は飲んだ後にも楽しめるものなんだってよ。』
「へーー、なくなっても余韻が残り、ずっと存在感を保ちつづけるなんて、すれ違った後に振り向きたくなるくらいの美女のようですわね。
まさに、ひと時が永遠に変わる瞬間ですわ」

『うーん、そうだな…』

それから3年が経った。今でもそのときの古酒以上のものに出会ったことはまだないけれど、お宝物はまだまだきっとどこかに…
泡盛探訪の旅は続きます。

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