美ら島物語
けいさい予定 サイトマップ
美ら島検索
「美ら島物語」メールマガジン「ちゅらしまニュース」発 泡盛コラム


TOP

バックナンバー


文・森山 卓


vol.49 泡盛一筋 魂が宿った泡盛

宮古の伊良部島にある「(株)宮の華」の社長が2004年6月に亡くなった。
四十九日の日、宮古島にいたので、知り合いと一緒にフェリーに乗って伊良部島までご焼香に伺った。
その際、ご家族の方からいろいろな思い出話を聞かせていただいた。

『父が亡くなってから不思議なことが起こっているんですよ。』と娘さんが語りだした。
『生前、社長は毎日酒を仕込む前に、必ず杜氏に麹を持ってこさせ、具合を見定めていたのですが、亡くなった後、しばらくすると麹の具合がおかしくなったんですよ。それで、杜氏がびっくり! きっと社長が気を抜いてはいけないと伝えているに違いない、そう思って仏壇に麹をお供えしはじめたんです。すると、途端に元の状態に戻ったので、これまたびっくり。だから毎日仏壇にお供えしているんですよ。』

『また、従業員の夢の中に現れて、酒造りについての心得をいろいろと教えてくれているそうなんです。だから、出来上がった泡盛も必ず仏壇に供えているんです。』

社長の魂はいつも一緒にいる。もし手を抜いたり、妥協すると宮の華の泡盛が廃れてしまう。と、心を一つにみんなで泡盛造りに精を出しているそうだ。

さてさて、四十九日が終ると、正式に娘さんが会社を継ぐことが決まった。
そうしたら、『女に酒が造れるか!』などという中傷の電話が、とある酒類販売店の社長からあったそうだ。
しかし、泡盛コラムVol.19でもお伝えしているとおり、宮の華の杜氏は以前から女性だ。また戦前の泡盛造りは女性が麹を管理していたのだし、女性に造れないはずがないのだ。
そもそも、戦後泡盛を産業に!ということで、工場設備を整えて作り始めたから男の仕事というようになってきただけで、戦前の家内工業的に生産している頃は、麹をまいたら寝ずの番で温度管理をするのも女性の役目だったのだから。
ちなみに沖縄の方言では奥さんのことを「とぅじ」というが、日本の古い言葉でも女性のことを「とうじ」と言っていたそうだ。

まったく時代錯誤も甚だしい心の貧しい人もいるものだと、みんなで話していた。まあ、世代わりの時にはいろいろなことを言う人もいるだろうけれど、そんなのは放っておけばいい。大切なことは、男だ女だということではなくて、泡盛を愛する人が真心込めて造る泡盛は、どれも美味しいに決まっているとうことだ。中傷など気にするな!
これまで同様、飲む人が喜んでくれる泡盛をただひたすら造ることに専念すればいいんだから。と、先代社長が伝えているような気がした。

『俺がいなくてもみんなちゃんとやってくれるな』と安心したら、天国に昇って、あちらでもまた泡盛造りをはじめるんだろうな。泡盛一筋に生きた人だから、きっと魂も泡盛一色に違いない。

Vol.19  県内唯一 女性杜氏が造る泡盛 『(株)宮の華』

戻る 進む




美ら島物語泡盛コラム
この記事に関するご意見・ご感想をこちらまでお寄せ下さい。