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一日の中で最も暑い時間帯にマラソンをするんです。
この日の最高気温、何度あったか知ってますか?
なんと29度! 太陽の下だと平気で30度を越していたでしょうね。最初から水をかぶって、氷を両手に走ってました。もちろん、走るペースもガタ落ちです。1キロを6分のペースでいければ上出来だと思っていたんですが、とんでもない! 7分以上かかってます。
10km地点、給水所が見えてきました。
何か食べなきゃ、と思うのですが、全く食欲がありません。それでもエネルギーを補給しないといけないので、無理矢理おにぎりを食べました。ちゃんと消化してくれよ、オレの内臓!
そのうち、水も飲めなくなってきました。
「これはヤバイぞ、内臓がイカれてる。」
トライアスロンでは筋肉や心肺機能はもちろん、内臓も強くなくてはいけません。エネルギー補給ができないと、どんな優秀な選手でも走り続けることはできないのです。幸い、コーラなら口当たりが爽やかなので、まだ飲むことができました。
折り返しを過ぎると、あとは我慢勝負です。
走っても辛いが、歩くのもキツイ。
どっちでも同じなら少しでも走ってたほうがいいかな。
そうだ、あの電柱まで走ろう……よーし、あの電柱まで歩いたらまた走ろう…
そんなことを延々と繰り返しながら復路を行きます。もう、日が沈んで暗くなってきました。時々、しゃがみこんで10秒ほど休憩。休みすぎると前に進めなくなるので再び走り出します。
疲労も極限に達している35Km地点
ふと子供との約束を思い出しました。
「あぁ〜、もう『ワンピース』の始まる時間だ。ごめんよ、お父さん間に合わなかった…もしかしたら、怒ってホテルに帰っちゃったかな?」
もう走れなくなった身体を引きずるように一歩、また一歩とゴールを目指して歩き続けます。
前浜の海をスタートしてから13時間、沿道の人々の応援に背中を押されながら、眩しいくらいの照明が輝くゴールの平良市陸上競技場にたどりつきました。
たくさんの人々の声援に迎えられて最後の400mを走るわけですが、このときばかりは今までの苦しさを忘れて、自分がヒーローになったような感じです。宮古島の醍醐味と言っても過言ではないでしょう。
ゴールの手前100mほどで、愛する我が子と妻の姿が見えました。
「さ、こっちおいで。一緒にゴールしよう!」
このゴールは自分だけのものではありません。練習に明け暮れる毎日を支えてくれた家族のゴールでもあるのです。絶対に一緒にゴールテープを切ろうと決めていました。
「ごめんな、『ワンピース』間に合わなかったな」
「いいよ、お父さんとってもカッコいいよ!」
そこから家族4人で手をつないで、ゆっくりと歩きながら最高の気分でゴールすることができました。
午後9時30分、競技終了を告げる花火が夜空に打ち上げられ、2003年の宮古島トライアスロンは幕を閉じました。
今年は特に暑くて、すべての選手が苦しめられたと思います。
しかし、あのゴールを味わうと「また来年も」という気持ちになってしまうのです。1年近い準備期間と、家族や島の人々を巻き込んでの14時間に及ぶ壮大な「遊び」。
いつもとは違う「熱い」宮古島…皆さんもいかがでしょうか?
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