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風向きを見て、向かったのは平久保崎手前の砂浜だ。
大城さんが準備をはじめた。
背中に大きな扇風機のようなエンジン付きのプロペラを背負い、慣らし運転をしている。
風にもたれて余裕の雰囲気だが、こっちはその時間を楽しむ余裕などまったくない。
新井さんは涼しそうな顔で撮影の準備。
僕の心臓はバクバクいって、額から汗が噴き出してくる。
「暑いねー」と言いながら汗を拭いた。
まあ、確かに暑い日ではあったが、本当は脂汗だった。
ばればれか?
「女性は平気なんだよな。いっち!にぃ!の さぁん!で飛ぶわけさ。
でも男はビビるわけさ。この前も雑誌の取材でにいちゃんが来たけどよ、膝曲げて固まっていたさ。」
ははは〜と大城さんは笑っている。「あはっ あははぁ」と一応僕も笑ってみた。
さて、準備が整ったようだ。
僕にもヘルメットが手渡された。ベルトが装着され、金具でパラグライダーと大城さんとつながった。
なるほど、大城さんの前に立って飛ぶらしい。
「グライダーを浮かすと風の力で後ろに引っ張られるから、踏ん張れよ。」
と大城さんが言った。
どれくらいの力なんだろう。と思っていたら「いくぞ!」の一声でグライダーが空へ舞い上がった。
ぐーっと引っ張られるのをこらえる。かなりの力だ。
それでも、体制を整えてほっと一息、と思ったらいきなり「走れ!」の声がかかった!
心の準備をする間もないではないか。
「ひーー」、っと叫びながら、とにかく走った。
ツッタッタッタッター…
ふわっと浮いた。少し上昇した。
しかし、「風を捕まえられないからやり直す」と大城さんが言った。
砂浜を見下ろすと、潮干狩りをしているおばぁたちがいる方向に向って降下している。
それに気づいて顔を上げたおばぁたちの表情が印象的だった。
大城さんは一瞬でスイっと方向転換をして、おばぁたちとは反対の方向に降ろした。
おばぁ、しかまして(驚かせて)ごめんね。
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