どの季節だったか、
とにかくあるとき沖縄本島の、
観光客が闊歩する国際通りに面した店で、
ショーケースの片隅から妙な気を発している“はりこのサンタクロース”と、
目があってしまいました。
体は布で、頭がはりこ。
頭のてっぺんにヒモがついているし、
はりこゆえ軽いから、
クリスマスツリーに飾れないこともないかなと。
でも、ちょっとそぐわないような気も。
だってこのサンタは、
25日の朝の彼。
イブの晩、
星の数ほどいる子供たちに不眠不休で
プレゼントを配ってまわり、
どうにかこうにか間にあったものの、
陽が昇る頃には精も根も尽き果て、
へとへとくたくた。
だからサンタの袋は空っぽ、目はうつろ。
彼が、任務を遂行した喜びにひたるのはきっと、
ひと眠りしたあとのこと。
結局、
この哀愁漂うサンタを私は買ってしまい、
彼は年に一度、
我が家のクリスマスツリーで異彩を放つことに。
そしてこの“はりこサンタ”の生みの親が、
沖縄県嘉手納町生まれの、豊永盛人さん。
豊永さんが創るのはサンタだけ、
ではありません。
というよりも、はりこだけ、ではありません。
便器のフタやキャンパスに描いたり、
ぬいぐるみやカルタや木像を、
さらには銀細工や時計の作り手たちと共に、
なにかを作ってみたりもしています。
はりこだけをのぞいてみても、
その世界は遊び心にあふれています。
サルのおめんに、ミルク様、
首ふりシーサー、玉のりシーサー、
思わず笑みがこぼれてしまう、おにぎりすずめ。
そして薩摩侵攻以降には創られていたらしい、
沖縄のはりこ玩具の流れを汲む、
鯉のり童子、
チンチン馬グヮー、
ジュリグヮーなど。
クラシックなものからアバンギャルドなものまで、幅広く。
心がくすぐられた。
だから、はりこになった。
そんな風。
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