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沖縄を伝える〜歴史〜南島詩人・平田大一 歴史探訪シリーズ「天然島人〜島を歩く、歴史を歩く」第3話/「組踊を作った琉球の劇聖『玉城朝薫』にせまる」

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第4話/「尚巴志(しょうはし)〜鬼鷲という名の王の物語を紡ぐ」
沖縄を伝える〜歴史〜



  優しい風が吹いていた。

  読谷村、伊良皆地区にある「佐敷の森(さしきむい)」と呼ばれるこんもりとした山の中の小さな道。優しい風が吹いて、そして、その風が僕を目的地まで導いてくれた。

 

 
  琉球王朝、第一尚氏の始まりを作った「尚巴志(しょうはし)」。栄華を誇ったその偉大な王の墓が、生まれた沖縄本島南部の「佐敷」ではなく、本島中部の「読谷」にあると聞いて訪ねてみたくなった。

  国道58号線に、面した「伊良皆交差点」。交通量も多い、その道から脇に入った小さな、小さな道。車の喧騒は掻き消え、静寂な森の木立の中、僕はただひたすらに、地図を頼りに目的地に進んだ。

  時計を見る。実は・・・、とっくに到着してもいい時間から、もう既に一時間近くが経過していた。まるで道に迷った僕をあざ笑うかのように、森の高いところをざざざーッと、風が走る。じっとりと汗ばんだシャツを、ぱたぱたしながら、ふーッと、僕は大きく深呼吸、森の上に見える青い空を仰いでみた。

 
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  第二尚氏「尚円金丸」台頭のクーデターにともない、先の王統である第一尚氏の墓稜は焼き討ちにあう。危険を察した家臣「平田之子(ひらたぬしー)」と「屋比久之子(やびくぬしー)」の二人は、「尚巴志、尚忠、尚志達」の王家三代の遺骨を取り出し、決死の逃避行を敢行。尚巴志王が、琉球国三山統一の第一歩を印した、北山「今帰仁城(なきじんぐすく)」討伐の際の思い出の地「読谷」に、隠れ墓を作り埋葬したという。

  「隠れ墓」。そう、それはまるで隠すようにひっそりと作られたお墓なのである。日本の歴史の教科書にも出てくる琉球国唯一の国王の名前「尚巴志」。その偉大であるはずの王の墓が、誰の目にも触れず密葬されている。この事実に僕は不思議な疑問を感じていた。どうして、読谷に?どうして、隠れ墓に?

 

 
  あれから更に小一時間が経過。墓は探しても、やっぱり見つからない。僕は、諦めて車を停めた森の入り口まで戻った。そして始めて気がついたのだ。入り口近くにある小さな小道。小道の向こうから気持ちの良い風が吹いてくる。その風の道が僕を導いてくれている気がした。

  足を、一歩一歩進めるたびに湧き上がる確信!この風の道の向こうに目的の「墓稜」はあるに違いない。

  小道の脇をチョロチョロと清水が流れる。どこか遠くで小さな鳥のなき声がしていた。僕は、喉の渇きも忘れ、その風の吹く道の先に急いだ。

 
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