第7話/「預言者の瞳〜アカインコと伊波普猷への詩人的考察」
「預言者の瞳」について、考えたことがある。
凡夫が見えない未来が見え、常人が考えつかない将来をありありと描き出し、詠い語ってゆく「預言者」。その「瞳」について、考えるのである。
ただし、マホメット、モーゼ、キリスト、仏陀にしろ、だいたいそう言う預言者への周りからの仕打ちは「迫害」の二文字であることも知っている。それでも、僕は思う。 この島の為なら、この島の人達の為ならば、僕はその「預言者の瞳」を持ちたいと。
沖縄を代表する預言者の一人に「アカインコ」がいる。 彼は、伝説上の人物ではあるが、一説によれば16世紀前半、尚真王の時代(在位1477年〜1527年)の人とも言われており、異国の楽器「三弦(さんしぇん)」を肩からかけ、島々村々を訪ね歩いては現世のものとは思えない歌と演奏で、聞く人々を陶然とさせたとか。
この有名な琉歌は、そのアカインコの神秘性を見事に表したもので、彼が「三線の始祖」とも云われる由来にもなっている。 琉歌の意味は、「琉球で歌を三線に合わせて弾き始めたのは、赤犬子という音楽の神様の創作である(田辺尚雄/日本楽器漫談抄より)」ということであるらしい。