八重山の歴史学者「牧野清」氏は、そういうと、ニヤリと笑った。石垣島の登野城のご実家でのこと。もう、かれこれ二十年くらい前の話だ。
牧野氏曰く、古くから伝わる島の人の間での噂では「西表島の河口には、大きな『ヤモリ』がいて、人間をも丸呑みするらしい…」とのこと。
牧野氏は続ける。「でもね…平田さん、あれは『ヤモリ』なんかではありませんよ。島の人が解らなかっただけで、それだけ大きい『ヤモリ』となれば、これはもう『鰐』です。『鰐』としか、考えられない。私はね、近いうちに実態調査に行くつもりです。」八十歳を過ぎた歴史学者である島人は、そう言うと、また子どものような目になって「ふふふ…」と、楽しそうに笑った。
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