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沖縄を伝える〜自然〜海人写真家・古谷千佳子「沖縄の海と自然を伝える」
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第14回 タコトリオジィ 沖縄を伝える〜自然〜

タコ漁
タコ漁

船尾で舵を取るオジィの邪魔にならない様に、私は出来るだけ少ない機材を持って、船首にちょこんと座り込む。
波を切って走るサバニの先端から、辺りを見ようと顔を出した瞬間、船が波だけでなく風をも切って走っていることがわかる。

そういえば、この船に乗せてもらえるまで大分時間がかかったが、その理由のひとつに「船の神様が嫉妬するから』と言っていたな。
私は、ひたすら港に通い、いろんな海人と仲良くなって、私が海で泳げる事をアピールするチャンスを狙ってきた。オジィの友達の海人の協力を得て、オジィの隣をひたすら泳ぐ事4時間。「上がりなさい」とサバニに乗せてもらえた時には、喜びでいっぱいで海人オジィのカッコ良さしか見えなかったが、それから十数年。海人達と、海での時間を重ねるにつれ、海の優しさや恐ろしさ、そして、陸との繋がりを感じ「祈りの心」がわかってきたような気がする。
けれど、海・自然の偉大さを知れば知る程、自分の小ささと自然についての無知を知ることになる。
今の私は、果たして、海や船の神様に認めてもらえたのだろうか?

このサバニは、オジィとともに海の移り変わりをどれだけ見て、どれだけの体験をしてきたのだろう。
ちょっと妬ける様な気がする。

船上

そんな事を振り返り考えている間に、ポンポン、ポン・・・というリズムがゆっくりになってきた。

三郎オジィ
三郎オジィ
三郎オジィ
三郎オジィ
三郎オジィの水中メガネ

そのとたん、波を受け、サバニはユラユラ揺れ始める。
「海はこんなに動いているんだ」
スピードを出す事で安定するサバニは、停止した途端に波を受け、潮の動き、風の強弱を直に感じられる。

アンカーを打って舟を停めると、オジィは耳(補聴器)を外した。オジィ海人の多くに耳の遠い人が多い。若い頃、厳しい親方に仕込まれ、無理に潜り続けて鼓膜を傷つけてしまったからだ。
海での技は盗むもの。今の時代の様に、教えてもらうのではなく、体験を通して身につけ、潜り続けられた者だけが"ウミンチュ"として生きることが出来たのであろう。

海では言葉はいらない。しゃべるより速く動く身体が何よりも大事だから。

ウエットスーツに着替えると、浮き等、自分の身体から離れて使う道具を海に投げ入れる。もちろん流されない様に、自分の身体と紐で括って。
ウエットスーツの上から、ウエイトをつけ、手モリのチェックをしたら、庭先でとってきたカズラの葉っぱを海水で扱きはじめる。

何をしているのかというと、水中メガネの曇り止めだ。
ミーカガン(木にガラスをはめ込んだ水中メガネ)のガラス面に、カズラの葉っぱのヌルヌルを擦り付けることで海中でガラスが曇る事無くなり、海中世界をクリアに見ることが出来るのだ。

手のひらに海水を汲み、顔に海水をなじませ、ミーカガンをつける。
この瞬間に、優しいオジィは、海人三郎に変身する。
足ヒレを履き、一言、
「オジィは行くよ」と同時に、ドブン。

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美ら島物語「沖縄の海と自然を伝える」第14回「タコトリオジィ」

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